AOC会員No.083 道の星まえださんのツーレポ( 後編 )
ここが凄いところだ。MASAKIさんが先導し竜坊さんが挟んでロックさんを近くのスタンドまで誘導した。
大勢でスタンドをただ占拠しても申し訳ないから私に出来ることは満タン近いタンクにガソリンを入れて
スタンドの機嫌を取ることぐらいだ。果たしてロックさんの愛車のクラッチオイルは減りそして汚れていた。
つぎ足しで様子をみることに。

仲間を大事にするという当たり前のことが当たり前に行われている事は安心感を得られる光景だ。
もし自分だったらと置き換えたらこんな心強いことはないと思えるグループの姿勢だと感じた。

そして、これと似た出来事が翌朝待っていようとはこの時だれが想像したであろうか。

さて、そろそろ宿泊所の方に向かわなければならないし日帰りのメンバーとも別れなければならない時間が来ていた。
やまごぼうさんは遠いので先に帰ることとなったが、ちぃさんとまささんは同方向らしく二人とは道中で別れた。

6時近くになってしまっていたが忍野八海に寄って観光。竜坊さんが振る舞ってくれた焼き餅はすごく旨かった。
その後、竜坊さんとシンさん(思い出横丁さん)は宿まで来てくれた。「こうなったら泊まったら?」などと
軽口を言ってはいたが「明日天気悪いから・・」という受け答えに誰も反論できなかった、この時点までは。

宿に着いてからも30分以上もバイクを囲んで話し込んでいて誰もチェックインしようとしないから困った客である(笑)。
しかし、そろそろ日も落ち暗くなってしまった。別れの時がやってきたようだ。
竜坊さん、シンさん気を付けて。記念写真を撮って、皆で見送った。
ここで残った者はMASAKIさん、おすぎさん、ロックさん、カズさん、kuniさん、reonさん、道の星まえだの7人となった。

チェックイン後すぐ夕食となり乾杯をして8品出るという夕食を頂く。皆さんあまり辛党じゃないようだから3本に止める。
ロックさんのおかげで今夜はこうしてまともな食事が出来るし畳の上で寝られる。

風呂にも入って部屋で雑談していたらおすぎさんがあみだくじで景品を出すという。
いやーなかなか出来ることではない。車はジャガー、ロードスターを所有するとかでマニアックなお人だ。
とにかく良く気が付くしまめに動く。自分がこんなふうになれるとも思えないので感心するばかりだ。

花火か演習か分からないけれど夜遅くまで破裂音がする。消防車までもが宿の周りまでやってきた。
近所のホテルか寮では若者が騒いでいて静かで騒がしい微妙な環境だ。エアコンはないが網戸でちょうどいい室温になる。
缶ビールを買って風呂上がりにまた一杯やる・・のはロックさんと私だけのようだ。

MASAKIさんによれば明日の朝、埼玉からヨシさんが駆けつけるという。
出発が早いから予定より早く8時には来るようにメールしてもらう。彼は最近付けたフォワードコントロールを見せたいというので
明日来たら彼のバイクを皆で無視してからかおう等という(笑)。とにかく行動力のある人のようだ。

夜も更けた。布団を6つ敷き詰めて、明日の好天を誰もが願って就寝する。
Kuniさんは一人部屋だがもう寝たかな?
8月19日(日曜日)
朝、6時にあーっというカズさんの大声で目が覚める。なんと富士山が文字通り目の覚めるようなラインを見せている。
部屋の障子を全開にして皆で鑑賞。こんな富士は地元でもなかなか見られないらしい。
私はこういう形では生まれて初めて目にする光景だ。そうかぁ、ロックさんありがとう。
この宿に富士重荘という名前が付いている意味とその価値が今やっと分かった。
なんていい場所にありなんていい部屋を取れたものか。Kuniさんの部屋からは見えないはずだ。
これはもう絵に描くしかないと考え、表のバイクからスケッチブックを出そうとしたら、もうkuniさんがバイクを磨いていたので
「kuniさん、富士山がバッチリ見えるよ!」と伝える。Kuniさんは今夜中にフェリーに乗って愛媛に帰ろうと張り切っていたのだ。

富士をバックに撮影したり見とれているうちにみるみる富士の姿は変わっていく。
雲一つない姿は10分もなかった。それでもこの快晴の天気はどう説明したものか。
中止とまで思われた今回のツアーがこんな結末を迎えるなんて。ヨシさんも到着して朝食とって軽く走って解散というシナリオだった。
ところが異変が起きた。なんとkuniさんの後輪が夜中のうちにペッタンコになっていることに本人が気づいた。
誰かの悪戯かとも一瞬思ったけれど一台だけというのもおかしい。MASAKIさんが調べたら釘を踏んでいた。
ここの駐車場は砂利だから釘が起きやすい。探したら付近に数本の釘や針金が落ちていた。
災難と言うしかない。またしてもバイクトラブル。

しかし、もう誰も心配していなかった。必ず皆の力で直ると。カズさんがパンク修理材を持っているのでロックさんがそれを注入。
ヤマハのYSPの開くのを待って本格修理をする事に。Kuniさんに同行するロックさんが神戸までの時間計算をしていて、
11時出発リミットと考えていたようだがこのままだとフェリー乗船は無理かも知れないとも心配された。
それよりもMASAKIさんはkuniさんの気持ちの張りが無くなって安全に帰れるかどうかの心配をしている。
バイクは直る、しかし、気持ちが萎えたら可哀想だというのは理解できる。AOCの全国ツーリングは今まで無事故できたらしい。
物理的な事故も困るが人的な心の傷の方が残るから・・。でも意外とkuniさんは強かった。さすが四国の女だね。

膨らんだ後輪を気にしながらも取り敢えず山中湖からの富士を見がてら、朝食に出る。いやー実にすばらしい風景となった。
7台のバイクを山中湖湖畔に並べ、中腹にゆったりと雲を抱えた富士を背景に記念写真を撮った。
こういう構図をイメージしてこのツーリングに参加した者にとって理想的な状況となった。
悪天候で参加できなかったり霧の富士だけで日帰りしてしまったメンバーには気の毒な展開となった。
うーん、これは2度のトラブルにもめげずに頑張った我々に対する天からのご褒美か・・。AOCばんざ〜い。

山中湖畔のデニーズのテラスでとったモーニングに皆上機嫌だった。
おすぎさんの差し出したモクに手を出すMASAKIさん、reonさん、ロックさんら。バイクの見える席は安心感もあり、
また眺める悦びもある。ここに来て私は17日に金沢を出発したときの自分の心配が全く杞憂に過ぎないことに驚いていた。
初対面の人とも一緒に行動し、食事を共にして、それにさらにトラブルに皆で対処して力を合わせたことで
更に結束したのかこんなにもうち解けて話せることが出来るのだなと素直に思った。
MASAKIさんや参加者の性格に因るところが大だとは思うが。

ほぼ今回のツーリング参加の目的を達して一同YSPにKuniさんのバイクを預け近くの富士吉田の道の駅で時間つぶし。
葡萄ゼリーの土産を買う。
1時間後めでたくパンクも直り、記念撮影をして流れ解散となった。
お互い堅く握手をしてそれぞれの帰路へ。先ずカズさんが行きMASAKIさん、おすぎさん、ヨシさんとは
河口湖インター近くで別れる。ロックさんと、kuniさんとは諏訪まで一緒だからどこかで休憩して別れを言おうと踏んでいて
握手はしなかった。実際は自分が先に中央道を降りることになりこの望みが達せられなかったことが唯一の心残りだった。
降り口で二人に手を振るのが精一杯だった。

ロックさんはとにかく時間と距離の計算をしてなんとかkuniさんを四国行きのフェリーに乗せてあげようと頑張ったに違いない。
それに付いていくkuniさんの根性と体力もすごい。後で知ったが昼食も抜いて500キロを走りきったそうだ。

さて、ツアーは終わったが私の旅はまだ終わっていなかった。
諏訪ICで降りた私は茅野からビーナスラインに入ってうろうろしてから松本に抜ける計画を立てていた。
おすぎさんから少し聞いていたので良かったが実際走ってみるとルートが多数ありどうも今回のルートだけでは
制覇したとは言えそうもない。

訳が分からずビーナスラインを指し示す標識のまま走っていたら白樺湖に出てしまった。
国道152号線から県道192号線に入っていたようだ。偶然駐車場に止めたところで激しい夕立に出会ってしまう。
雨具を付けてしばらく様子を見るがこのまま走るしかない。霧ヶ峰から美ヶ原を目指し高度を再び上げていく。
雨も上がり視界も開けてきた。そうか、ここがかのビーナスラインかと安堵しながら走るがとにかく腹が減った。

3時前で峠のレストランでも焼きトウモロコシしかなかった。しかし、これが旨い。生でも甘いフルーツコーン。
焼いてくれたおじさんに道を尋ねる。諏訪に抜けた方がいいとかいう。それでは困る。
諏訪から来たから松本に抜けたいというと道が細いけどバイクならいいかとか言っている。
「俺は行ったことねえんだ。」というからそれ以上聞いても仕方なかった。コーンの話をしたら長い。
別のカップルが来たのでおじさんの話し相手を譲って再出発する。
三峰峠の茶屋で再びお焼きと牛乳をお腹に入れる。昔の旅人だったら茶屋で命拾いした人もいたのではないかな。
風景を眺める余裕が無くなるほどの自分の体力の低下に気づき始める。やっぱり空腹で走るのはいけない。
天候と時間のこともあり美ヶ原まで行くことを諦め扉峠から松本に抜けることにする。

ところがここでまた酔狂が出て県道67号線ではなくバイパスの山道の方を選択してしまう。
これがとんでもない道だった。エンジンブレーキを使わないと一発でブレーキがいかれるほどの
猛烈な急勾配の下り坂の連続で参った。愛車をいたわりながらようやく松本へ。松本ですでに5時になっていた。
今から暗い中4時間山道を走らねばならないのはちょっと辛いが何とか無事に帰らねばならない。

適当な先導車を見つけて追随して走ることにする。向こうは逃げる。こちらは追う。
新平湯温泉を抜け栃尾温泉まで来たときに露天風呂に入ることにする。無料の露天風呂でこのルートではよく立ち寄る。
湯船に入ったとたん額にポツリポツリと雨が。悔しいが慌てて服を着て再出発。
あとはどう走ったか闇雲に走ってようやく富山県から石川県へ。自宅に着いたときには夜9時を回っていた。
1,000キロ近い距離を走破したが身体は疲れていても気持ちには充実感が残っていた。
MASAKIさんとの約束で帰還報告をする。ロックさんとkuniさん組も無事帰ったようだ。ツーリングの完了。
ここまで読んでくださって有り難うございました。
今回のAOC富士五湖全国ツーリングに参加してバイクに乗る者同士が共有できる悦びと連帯を肌で感じることが出来、
自分にとっては大きな収穫でした。
富士山の優美な姿にも感動しましたが、やはり人間力のちからは
自然をも超えていると感じました。
また、機会があれば是非参加したいという思いでいます。
レポートを書いてあのツアーのことがまた思い出されました。
メンバーの皆さん有り難うございました。
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