第5回AOC全国ツーリング in 山梨県/富士五湖
AOC会員No.083 道の星まえださんのツーレポ( 前編 )
2007年8月18(Sat)19日(Sun)
2007年8月17日(前泊)〜19日   道の星まえだ

このレポートはツアーを解説するものではありません。

私が今回参加した個人的感想やツアー前後の体験を書き連ねたものです。

時間のある方だけお読み下さい(^^
8月17日(金曜日)前泊
早朝5時。昨夜のMASAKI代表のツーリング決行の発表を見て、早寝を決め込んで睡眠時間は確保した。体調は万全だ。

ロードスターXV1600に積めるだけの荷物を積み込み一路東南に向けて自宅を出発。
東北支部長のTAMAさんと西湖で落ち合えるかどうか全国的には微妙な天候だが、行き先の好天を信じて走り出した。
もちろんサイドバッグカバー、ブーツカバーも含めて雨具の準備は完全にしてある。

神戸のロックさんからも合流のお誘いメールが10日に入っていたのだが、その時は志賀高原を走っていて
メールチェックもしておらず失礼してしまっていた。仕事関係で富士五湖辺りにすでに最近行っているらしい。
うまく会えればいいのだが・・。

自宅から数キロ離れたインターから北陸自動車道に乗り、先ず富山まで行くことにする。
高速は風景もつまらないが距離を稼ぐには仕方がない。だが早朝の空は澄んでいて美しい。
いよいよ長旅が始まるかと思うと気持ちが引き締まってきた。

今回、AOCの全国ツーリングに参加するかどうかずいぶん考えた。
駒ヶ根に用事があって26日にも行かねばならないし、10日〜11日にも志賀高原、軽井沢キャンプツーリングを
計画していたからだ。宿泊の事もあり早めに参加意志を表明はしたが、とにかく遠いことがためらう理由の一つ。
もう一つの理由は初対面のツーリング参加で馴染めるかどうか心配なことだ。

富山インターを降りるとすぐ国道41号線に出る。この道は昔からの旧街道で北陸と中京を結ぶ重要な商用道路である。
飛騨高山を通ることから観光の車も多い。このまま高山まで行きそこから木曽街道361号線をひたすら
東にというルートもあるが、途中の神岡から471号線に乗り換え阿房トンネルを経て158号線で松本へ抜け
駒ヶ根へという方が時間的には早そうだ。ただこのルートは一週間前に通っている。

駒ヶ根までは自宅のある金沢市から約260キロ。これをどう楽しんで走り、更に駒ヶ根から待ち合わせの西湖まで
百数十キロを迷わずに行き、TAMAさんと約束した夕方5時までに着けるかというのが今日の課題だ。
そしてかつ野宿しなければならない。

しかし、走行は意外と順調だった。阿房トンネルも抜けて奈川渡ダムまで来た時まだ午前8時過ぎだ。
これなら行けるな、ちょっと遠回りしても大丈夫と思った。
このまま順当に行けば松本まで1時間もかからない。回り道をすればどれだけかかるか読めなかったが、
回り道の途中にある野麦峠、御嶽山の名前には魅せられる。

奈川渡ダムに駐車して思案していると8:14にTAMAさんからメールが入った。
夕べのメールで私も心配はしていたが、今朝も山形は大雨で、来られないらしい。
これで一人キャンプが決まった。と同時に回り道も決断することにした。
TAMAさんに会えないのは残念だ。しかし、そのメールにロックさんがキャンプ場に寄るかも知れないともあり、楽しみも増えた。

奈川に行く道は車も多くない。更に野麦峠までの野麦街道(飛騨街道)は殆どすれ違う車もない。
しかし、ツーリングマップルでバイクお勧め道路と表示する程の道路でもないなと走りながら思った。
特にアメリカンではきつい。野麦峠に来てみると果たして期待するほどの眺望はなかった。
記念館も係のおじさんのサボタージュで9時半になっても開かない。
諦めて下ることにするがこれがまたカーブのきつい山道だ。

361号線に向かって下りながら想像した。明治から大正にかけて飛騨から諏訪や岡谷に糸ひきに出稼ぎに行かされた
13歳ぐらいの少女達がここを通っていったのだと。年末の里帰りに雪道で行き倒れになった子たちもいたという。
バイクで難所などと言っては罰が当たる。ああ野麦峠。
国道361号線に出ると急に広く明るい道となり、国道19号線(中山道)と合流するまで快適に走る。
途中、御嶽山の雄麗な姿に思わず見とれてしまう。“木曽のな〜あ、なかのりさん・・”と口ずさみながら走る。
日差しが強くバイクも熱い。

19号線は幹線道路でもあるからちょっと交通量も増えた。白バイの後を付く格好になったりして走りにくい区間もあったが、
途中で権兵衛トンネル方面に361号線が分岐して伊那に抜ける。この道は有料と言われても仕方ないほど整備されている。
峠を越えていた頃はさぞ大変だったろう。阿房トンネルのミニ版というところか。トンネルを越えると急に視界が開けた。
伊那市である。ああ信州に来たという実感を抱かされる。

伊那から駒ヶ根までは3つのルートがある。中央高速と153号線、そして偶然発見した伊那中部広域農道だ。
この農道は抜群に快適な道路で信号もほとんどない。

目的地の駒ヶ根高原美術館は丘陵地帯の風光明媚な環境にある。着いたら1時近かった。
猛烈にお腹が空いた。美術館に隣接した喫茶店を経営する知人の所でボルシチを食べて人心地つく。
そして、展覧会鑑賞・・。

TAMAさんとの約束がなくなったことでいくらか気が弛んでしまったようだ。駒ヶ根インターから中央道で甲府南まで行き、
そこから西湖に抜ければいい、それでも5時には着くだろうと考えた。

甲府南から358号線に出て右左口トンネル、精進湖トンネルを経て精進湖、西湖と地図上では簡単に見えた道が、
なかなか高度差がある山越えの道だと知ったのは、タンクにある時計の時刻が気になりだした頃だった。

時間が気になる理由は、暗くなるとキャンプ場の管理人がいなくなるかも知れないということや見えなくて
テントが張れなくなる虞があるからだ。そして、その前に食料を調達しなければならない。
精進湖の手前辺りでコンビニの前を通り過ぎた。あ、止まろうかな、と考えたが止まらなかった。
他に店ぐらいあるだろうと考えたり、あまりなさそうな地形だなと心配してみたりしているうちに河口湖の端まで来てしまった。
食料品を売っていそうな店もないし、食料品を調達できそうなキャンプ場もなさそうに見えた。
酒屋はあるが欲しいのは肉だ。

TAMAさんと食事は完全自前と約束していたが、まあ一緒にバーベキューぐらいして乾杯という絵を描いていたので
バーベキューの準備と米、野菜だけは(それとウィスキーの小瓶も)持ってきていたが肉だけは現地調達の積もりだったから
これはまずい事態になってきた。日差しも傾いてきた。

河口湖南の道(県道710)を走っているうちに住宅街の道に入ってしまった。
しかし、偶然小さな商店を見つけたので路駐して食品とビールを買うことにした。肉系は味付け肉のパックしかない。
これでもありがたい。おばあちゃんが店番をしていて「今晩何処に泊まる?」というから「キャンプ場探してる」と言ったら、
「西湖の方まで行ったらいいよ」とわざわざ表まで出てきて教えてくれた。うー、親切が身に染みる!

もし、TAMAさんが来ていたらこちらが時間も場所も守れなかったかも知れない状況になりつつあった。
西湖自由キャンプ場なる場所はついに分からなかった。今更値段の高いキャンプ場に行ったのでは野宿する意味もないが、
かといって何処かにテントを張らなければならない。

“自由にキャンプしてください(有料)”という手書きの看板を西湖の北岸で見つけとにかく湖岸に下りてみることにした。
管理人の小屋も無人だ。“有料”の意味が分からないが、たぶん時間が遅すぎて無人なのだと解釈して
他のキャンパーを避けて入り口近くに場所を取ることにした。騒がしいのは困るし、
早朝の出発で他のテントに迷惑かけてもいけないから孤立している方が都合がいい。しかも、水場とトイレにも近い。
暗くなってきたので慌ててテントを張る。隣のテントの犬が吠えているが無視する。
米の炊ける間バーベキューをしてビールを飲む。椅子やテーブルも持ってきているのでランタンで照らされた
我がテントサイトはそれなりにいい感じに見えるらしい。おじさんが近づいてきて
「いいですねー。私も若いときには一人で行ってたんですが・・」という。じゃ、家族で来ている今は良くないという事?
などと苦笑しながらビールを楽しんでいると、18:26にメールが入った。

ロックさんからだ。ようやく恵那峡に来たとのこと。さらに20:04に諏訪湖まで来たとのメール。
早くビールを飲みたいと書いてあり思わず笑ってしまう。明日の朝連絡くれるらしい。
結局、今夜は一人のようだし明日の出発の事もあるから早めに寝ることにする。夜食は焼きおにぎり。

ところでこの一見開放的なキャンプ場はやはり有料だった。夜の9時過ぎに管理人らしき女性がテント毎にお金を集めに回ってきた。
一人1,000円らしい。バイクのキャンパーは私一人だった。有料ならもう少し整備して欲しいな。
8月18日(土曜日)
結局、昨夜は12時過ぎまで寝付けずにいたが朝6時には目覚める。さっそくロックさんから電話があり、
後で待ち合わせをしましょうということに。テント撤収もあるがそれでもコーヒーをたててパンを食べる。
パンは潰れてしまっていたが何かお腹に入れておく必要がある。再度ロックさんから電話があり、
もう河口湖付近で待っているとのこと。

荷物をバイクに積み終えて言われた付近まで行くがどうも分からない。河口湖の北岸を行かねばならなかったらしい。
完全に迷ってしまった。137号線なのか139号線なのか・・。途中何度か携帯で位置を確認し合いながらようやく対面できた。
ロックさんは神戸の人なのにやけに道に詳しい。こちらは未知の土地でだんだんと方向感覚がおかしくなってきていた。

ロックさんの後について取りあえずコンビニへ。ここでゴミを捨てる。ロックさんは朝食を調達。
集合場所の富士吉田の道の駅はすぐそこらしい。ところでロックさんのバイクのフロントフォークはすごく長い。
原型はイントルーダと聞きびっくり。イージーライダーの乗車スタイルだからまっすぐに走るためのバイクという感じ。
高速だと絵になるなと思ってしまう。とにかく朝ロックさんに会えて助かった。

8時過ぎには取り敢えずロックさんと集合場所へ。あれれ、誰もいない。
広い駐車場を見渡しても何処にもアメリカンは見あたらない。と、しばらくして、やたらにマフラー音を響かせた
アメリカンバイクがやってきた。これが後で入会したシンさん改め思い出横丁さん。このバリバリ音はすごい。

ところがしばらくしたらシンさんにも負けないくらいの爆音車が入ってきたかと思ったら遠くの高いところに停まってしまった。
どうも髪型のシルエットは画像で見覚えのある代表のMASAKIさんのようだ。手を振ったら反応があったからそうに違いない。
車用の駐車場に停めるとまずいらしく皆で上のバイク用の駐車場に移動することに。

現在の所、皆が初対面のようだ。AOCの画像ページでMASAKIさんのカスタムステードは見たことがあったが
生で見ると迫力がある。人が乗ると余計にそのお尻をカットしたスタイルが強調される。
なるほどなー自分の好みを貫くとはこういうことなんだなと感心してしまう。

ハーレーにまつわるハーレー的なものに反発を感じる私は自分のバイクをすごくオーソドックスに仕立てたいと考えていたのだが、
ちょっと分からなくなってきた。まあ、荷物をたくさん積めてキャンプが出来ればいいんだが、
いろんな楽しみ方があることも理解できる。メカに弱いのでカスタムして安全性が損なわれることに不安を感じるのも事実だ。

そうこうしているうちに、それらしき集団がやってきた。時刻はギリギリの8時40分。
竜坊さん、まささん、おすぎさん、reonさん、ちぃさん、kuniさん、カズさん。
ここでMASAKIさんからちょっとしたサプライズがあるという。予告の無かった参加者が来るという。それがやまごぼうさんだ。
諏訪ツーを世話した人のようだ。お互い自己紹介を簡単にするがにわかにはバイクと一体化しては覚えられない。

取り敢えず記念写真をということになり奥の駐車場でV型に並べてみる。壮観である。
同じ車種の集まりだったらむしろ異様な光景になっていたかも知れないがバラバラだから威圧感はない集団だ。
これは走るときも重要なことだ。ハーレーなんかが群をなして走っていると思わず避けてしまうがそんな集団では走りたくない。

さて、いよいよ出発。MASAKIさんから順番は中継地で入れ替わっても良いが巡行中は抜かないようにと指示が出る。
リピーターのまささんや竜坊さんが中継ぎをしてくれておすぎさんが後方守備をしてくれるようだ。
私なんかこの辺ではぐれたら右も左も分からないから助かる。
驚いたことに先頭を走るMASAKIさんのステードにはミラーが付いていない。どうして車線変更しているのか不思議である。

今回は富士五湖を巡るということで河口湖から順番に巡るようだ。昨日はゆっくり湖を眺める余裕がなく走ってきたが
今日は総距離120キロ?ぐらいだからゆったりとしたツーリングである。普段一人だとつい先を急いでしまうから、
ポイントを押さえて観光しながら走るのもいいものだ。
逆さ富士の見えるポイントなどを教えてもらうが残念なことに今日は富士は見えない。

西湖、精進湖、本栖湖と回り時々写真を撮ったり、アイスを食べたり・・。徐々にメンバーの親睦が深まってきたようだ。
私もだんだんと気がほぐれてきた。
お互いのバイクも駐車の度に眺めたりして観察。排気量もメーカーもカスタムもかなりバラエティーに富んでいる。
なにしろナンバーが全国的だ。どういう人たち?って印象持たれたかな。

ちぃさんは特に白のドラッグスタークラシックに細い身体でまたがっているので隊列に華やかさをもたらしている。
人柄も明るい人でMASAKIさんとは初対面とは思えないほどの会話を交わしていたので感心した。
私はビラーゴで愛媛から来たkuniさんをガード?すべくなるべく彼女の後ろを走るようにした。
Kuniさん方向指示器の戻しをちゃんとやりましょうと度々思った(笑)。

本栖湖から富士すそ野の霧に巻き込まれたのには参った。前が全く見えない。
私のバイクには防風シールドが付いているのでこれが厄介な障害になる。追突の危険やメンバーを見失うおそれ大いにあり。
前をはしるkuniさんが遠くなったり近くなったりする。

白糸の滝ではMASAKIさんとゆっくり話すことが出来て楽しかった。滝の水源を考えていたら集合に遅れてしまった。
この代表のMASAKIさんは一度このルートを下見に来ていて今回こうして案内しているのだからすごい人だと思う。
「皆さんと走るとまた違って楽しいですから!」という。「本当に有り難うございました。」
「いや、参加してくださって有り難うございました。」うーん、どういう人なのか。

駐車場から昼食のため朝霧ファームに向かう時、私が雨具装備で手間取ったのとおすぎさんがちょっと立ちごけ状態みたいに
なったことでロックさんがつき合ってくれて3人で集団から遅れてしまった。
私以外は道を知っていたのだとは思ったがあそこで一人だったら完全に迷っていたかも知れない。
後で聞いたら3人は行方不明にされていたようだ(笑)。

かなり遅い昼食をバイキングでとったが朝が早かったせいでやたらにお腹が空いていた。
泊まり組は夕食時間との関係を気にしてお腹の調整をしてみたり、食欲に負けてしまったり悲喜こもごも。
バイクもそうだがやはり人間もガソリンが必要かな。これでアルコールが飲めたら最高なのだが・・。

さて、ここから鳴沢氷穴に向かう道で今回のツーリングで印象深くまたAOCの精神を体現できた一つの出来事があった。
集団の後方で私の前を走っているロックさんの走りがどうもおかしい。時々減速したりしている。
駐車場に入ったとき前方のメンバーは更に奥の氷穴の駐車場に進んでしまっていた。
「ロックさん、どうしました?」声をかけると「クラッチがいかれた・・」と言う返事。
ありゃ、どういうことかしらとワイヤーでも切れたかと思ったら油圧式だという。

先に行ってくれとロックさんは言うがそうは行かない。ロックさんの保険屋に電話して甲府から車が来るという段取りにはなったが、
カズさんやおすぎさんも何かいい手はないかとあれこれ話しているうちに、MASAKIさんがやってきてガチャガチャとギアーを
見事ニュートラルそしてローと入れ替えだした。そのうちメンバーも降りてきて氷穴観光は中止、
ロックさんのバイクの修理第一ということになった。
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